貴方の笑顔が見たい、ただそれだけ

電話の会話を主とした、『原作 オリジナル』よりの投稿になります。

因みに、組織壊滅後で彼は新一君の姿に戻り、高校3年に無事進級できました。

現実問題でいうならば、進学か就職かを選ぶ大事な時期にあり得そうなお話。

同じ幼馴染みでも、違う彼女たちの会話にご注目を(^^♪

そして、あいかわらず蘭に優しくないので、彼女のファンのかたは閲覧をお控えください。

苦情は受け付けませんので、悪しからず。

最後までお付き合いいただけると恐縮です。





貴方の笑顔が見たい、ただそれだけ


 新一は多大なる問題を抱えて、苦しんでいた。

 ついに蘭からは返事がもらえなかったことで、ようやく失恋したことを受け入れたというのに、帝丹へ復学してからも変わらない態度に戸惑っていたのだ。

 待たせていたことを盾にトロピカルランドへ連れていけ、それで費用は全部新一がおごるのが当然だと言われたり、断ると空手で脅して周囲を味方につけてくる。

 そんな我が物顔でいられる幼馴染みに、自分はどこを好きだったのか、それすらもわからなくなっていた。

 あと1年で卒業する3年の教室で、進路調査票が教師より生徒たちの元へ配られると、新一はなんの迷いもなく第一希望に東都大、第二希望に海外の大学を記入した。

 だが、それに目敏く気づいた蘭が今度はとんでもないことを言い出したのだ。

「・・・え?新一、東都大に行くの?」

「ん?それがなんだ?」

「なに言ってるのよ、新一。せっかく帰ってきたのになんでまた私から離れるようなことしてんのよ?」

「は・・・?大学だぞ?普通のことじゃねえか。」

「普通じゃないわよ!アンタはね、私を待たせたお詫びに私の言うことをなんでも聞かないとダメなんだからね!東都大になんてやめなさいよ!」

「なんでオメーにそこまで言われなきゃならねえんだ?これは俺の問題だ。オメーに関係ねえだろ?」

「関係あるわよ!私達幼馴染み・・・じゃなくて、こ、恋人でしょう!」

「・・・俺、お前と恋人になった覚えなんか全然ないんだけど?」

「告白したくせによく言えるわね!」

「は?今さらなんだよ。あんなのはもう無効だろ?あれから一年も経ってるんじゃねえか。」

 そんな二人の会話にクラスメイト達のからかいの声が聞こえてくる。

「おい、お前らなにやってんだ~?夫婦喧嘩か~?」

「嫁さんに優しくしてやれよ、工藤~」

「そ、そんなんじゃないってば!もう、やめてよね!」

「蘭の言う通りだ。俺たちの関係はただの幼馴染み。それ以上でもそれ以下でもねえよ。」

「「「「「は・・・?」」」」」

 いつも通りの夫婦喧嘩だと思っていたクラスメイト達は新一のはっきりとした物言いに、つい面を喰らってしまう。

「とにかく蘭、俺は希望を変える気はねえから。待たせたことは悪いと思ってるけどよ。大学とそれを一緒くたにしないでくれ。」

「ちょっと新一!どういう意味よ!」

「・・・人に聞く前に自分で考えろよ。俺らもう高校生だぜ?いつまでもガキのままでいられると思ったら大間違いだ。・・・大人になれよ。」

 会話するだけで疲れる、新一は心底そう思うとその場を後にした。

 そして、かかってきた服部の電話に応対すると、彼もまた東都大に行くことを決めたと知るのだった。





『おう工藤!久しぶりの学校はどうや~?』

「・・・別になんとも。前と変わらねえし。」

『あいかわらずクールなやっちゃなあ。まあ、それはもうええわ・・・、実はなあ、工藤に知らせたいことがあってん!』

「あん?なんだよ?」

『俺、東都大に行こうと思うてんねん!やっぱり法律ゆうたらそっちのあの先生がいっちゃん有名やしなあ?やるんなら天辺目指したいねん。ほんで将来は刑事になったろと思うて!』

「そうなのか、じゃあ俺と同じだな。」

『ホンマかいな?いや~、工藤も絶対に同じやと思うてたわ。気が合うな~、俺ら。ちゅーわけでこれからそっちに行くことが多うなるし、そんときは面倒みてや~。あ、せやけどあの姉ちゃんとデート被るのは勘弁やからその辺はちゃんと言うといてや。さすがに痛い目に遭うのは嫌やし。』

「あ~~・・・、それなら大丈夫だ。俺ら別に付き合ってねえし。プライベートな時間までぎゃあぎゃあ言われたくないしな。」

『・・・・・・おい、ちょう待てや。お前らまだなんかい!?なにやっとるんや工藤!あんだけ待たせたっちゅうんにそりゃあないやろ!さっさと告って姉ちゃんを安心させたりぃや!』

「・・・・・・・・・・・・服部まで、そう言うんだな。」

『・・・・・・は?』

「要件はそれだけか?じゃあもう切るな。」

『くどぉ・・・、』

 彼は今までの事情を知っている、知っているからこそ服部の言葉に傷ついた新一は慌てて電話を切った。

 もう誰一人、自分の味方などいないのだと。

 そんな想いとは裏腹に、友情想いな服部は新一の異常を敏感に察知し、その数時間が経った後。

 工藤邸に着いて、事のあらましを知るのだった。






 和葉は自室で進路希望票の用紙を見詰めながら、唸っていた。

 最近になって、告白してくれた平次と恋人になったのはいいが、今まで同じ学校に通っていた二人が別々になることで初めての別離に不安を抱いていたのだ。

 そんなとき、ふと思い出したかのように蘭へ連絡を取り始めた。

「あ、蘭ちゃん。アタシ、和葉やけど・・・ちょっと話せる?相談に乗ってほしいことがあるんや。」

『大丈夫だよ。それでなに?相談って?』

「実はな・・・進路のことやねん。蘭ちゃん、進学か就職かもう決めた?」

『うん、進学にしたよ。えーっとね、私の成績だったら米花大あたりかなって思ってるけど。』

「じゃあ、工藤君とはバラバラになるんやね。寂しない?」

『そりゃ寂しいに決まってるじゃない!でもね、大丈夫だよ!今アイツを説得しているところでね・・・そうだ!和葉ちゃん聞いてよ。新一ったらね、あれだけ私のこと待たせたくせに一緒の大学に行くの渋ってるのよ。』

「は・・・?ちょっと待ってや。まさか蘭ちゃん、工藤君にレベル落とさせて同じ大学に行かせる気なん?」

『そうだけど、それがどうかしたの?』

「アカンてそれ!大学は将来の道を決める大事な分岐点なんやんで?米花大て・・・、こう言っちゃ失礼かもしれへんけど、東都大とは雲泥の差やんか!」

『だからよ、私の成績じゃ絶対に無理だし。それなら新一が私に合わせてもらわなきゃ困るのよ。なのに新一ってばさ・・・』

「そりゃ当然やろ。なんで自分のレベルに合わんトコに行かなならんのや?そんなん工藤君、可哀想やんか。探偵になるんやろ?」

『探偵って・・・あんな、なにが起こるかわからない仕事なんて本気でなれるワケないじゃない。それにね、これはアイツのために言ってるのよ!』

「工藤君のためて、余計意味がわからんわ・・・。なら希望する大学に行かせてあげるべきやろ?アタシかて、平次と遠距離になるかもしれへんけど蘭ちゃん見習って頑張ってみようかなって、思うてたとこやったんやで?」

『え?やだ和葉ちゃん大阪の大学受けるの?やめたほうがいいって!好きな人が傍にいたほうが絶対にいいよ!』

「せやけど・・・平次、刑事になる言うから応援してやりたいもん。」

『へえ~、刑事。いいじゃない、服部君だったらすぐにいい役職につけそうだし。いいわね和葉ちゃん、服部君と付き合えて。将来も安定ね。』

「別に安定しているから応援してるんとちゃうよ・・・」

『まあそうかもしれないけど、やっぱり結婚するとしたらねえ?できればそのほうがいいと思わない?』

「なんや蘭ちゃん、工藤君にプロポーズでもされたん?今は大学問題でそれどころやないんやろ?」

『ま、まだそういうことをはっきりと言われたワケじゃないけど・・・・・・、もし結婚するなら、足場をしっかりさせないとダメでしょう?だから私、頑張って説得してるのよ。』

 蘭の話す言葉に和葉はふと首を捻った。

(なんやろこの会話・・・蘭ちゃんの独り相撲に見えて仕方ないわ。気の所為やろか・・・?)

 とりあえず、和葉は蘭との電話の後に服部にそのことを話すと、現実は全く違っていたことを知るのだった。





 早速、和葉は平次に蘭との電話のやりとりを話していた。

 だが、同じように新一と電話をしていた平次の話を聞き、その内容に愕然とした。

「は・・・?なんや、それ?」

「せやから今言うた通りや。あの姉ちゃんの言い分はそうかもしれへんけど、工藤の話聞く限りではアイツら付き合ってへんで?」

「なんでなん?だって工藤君、ロンドンで蘭ちゃんに告ったって・・・」

「それは事実やけど姉ちゃんの返事がない以上、関係は幼馴染みのままやろ。しかもなんや今の話・・・恋人どころか正妻面やんけ。」

「う、うん・・・なんか蘭ちゃんと話しとっても嫌な気分になってもうて。気のせいかと思うてたんやけど・・・・・・そないなことがあったんやな。」

「まあ、いくら幼馴染みいうても返事しなくていい理由にされとうないしな。俺らからしたら、嫌な気分になっても当然や。」

「・・・・・・せやな、ずっと蘭ちゃんのこと健気ないい娘やて思うてたけど、それとこれは別問題や。幼馴染みやからってワガママにも限度はあるし、返事してないんなら蘭ちゃんにそないなこと言う資格あらへん。」

「あれは度を越えとるで。自分に合わせろて、一体何様のつもりなんやろな。」

「・・・普通、大学て本人の行きたいところに行くもんやろ。相手に合わせるて聞いたことないわ。中学までならギリわかるけど、大学やで?」

「・・・まるで子供やな。工藤がおるから大丈夫やって考えてそうや。」

「なんやそれ・・・じゃあ、もし蘭ちゃんがアカンことしてもうたら、全部工藤君のせいにするかもしれへんってこと?」

「・・・確かに、あり得るかもなあ。」

「そんなん、蘭ちゃん非常識すぎるわ!平次がアタシんこと好きやって言ってくれたとき、本気なんか疑いはしたけど、アタシちゃんと平次に返事したもん。さすがに無視するんは人として恥ずかしいことやろ!蘭ちゃん・・・ホンマなに考えてんねん・・・」

「工藤の優しさを利用してるだけやて。なにも言わんでも察してくれって言いたいんやろな。」

「そんなん工藤君、ずっと蘭ちゃんの傍にいて、言いたいことを察しなアカンてことやんか。超能力者じゃあるまいし、それは無茶ぶりやで。」

「・・・せやから、工藤は姉ちゃんから離れたいって言うてたわ。」

「・・・・・・うん!アタシ、工藤君のこと応援するわ!・・・平次!しっかりと護ってあげてや!アタシ、大阪で自分のしたいことして、そんで平次のことも護るわ!せっかく工藤君と親友になれたんやから絶対に離したらアカンで!」

「ええんか・・・?それで?」

「うん!もう決めたしな!アタシ、蘭ちゃんとは縁を切るわ!あんな非常識な娘と友達なんてやってられへんしな!」

「ほんなら、遠距離になるけど。4年間またよろしゅう頼むで。」

「うん!平次とはずっと付き合っていきたいし、努力は惜しまへんで!」

 こうと決めたら男よりも女のほうが強いと言われている。

 和葉なら、自分を上手に立てつつも、ダメなときにはしっかりと叱ってくれるだろう。

 目の前の頼りになる恋人に、平次はそう思った。





 ――――そして、一年後の春。

 無事に東都大に合格した新一と服部。

 そこにキッドである快斗が加わったことで、キャンパス内では大変な騒ぎになった。

 因みに、蘭は無礼な振る舞いをし続けて、周りからの味方もいなくなったと聞かされている。

 親友の園子でさえも離れたことで、大学も失敗したそうだ。

 しかたなく短大に入ったのはいいが、そこは知り合いなど誰一人いなく、自分を味方してくれる友人もいない。

 もう繋がらないただの物体になり果てた携帯を持ち続けるようなストーカーな女と、親しくしたいなんて思う学生がいるはずもなく・・・

 新一は元凶の彼女から離れたことで、ようやく本当の笑顔を取り戻すことができたのだった。
 

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それは慌ただしい一日でした

『それは幸せな一日でした』のキッドの裏事情です。

ブログでネタを頂き、それを元に描いたキッドと鳩のお話。

なぜコナン君の誕生日に、キッドではなく鳩が来たのか?

その辺を妄想してみました。

因みに、キッドと鳩の間には通じるものがあるので、会話が成り立っていますが、その辺はスルーして頂ければ嬉しいです(*^_^*)

駄文ですが、最後までお付き合いいただけると恐縮です。


※※※※※


コメントのレスが遅れてしまって、申し訳ありません~(´・ω・`)

近い内に書きますので、しばしお待ちください。

このネタを頂いた方へ、半分と言いましたがほとんどのネタを使ってしまいました。

最後のおまけを消すか悩んだ結果、あったほうが面白いかと思いまして・・・

楽しんでもらえると嬉しいです(^^♪





それは慌ただしい一日でした


 名探偵・江戸川コナンもとい、工藤新一のお誕生日の当日。

 キッドは彼に渡す自作の暗号が出来上がったことで、今夜の逢瀬に一人浮かれていた。

 今は組織壊滅のことでコナンが敬愛する赤井はなにかと忙しくしており、ついでに安室もあいかわらずトリプルフェイスを続けている。

 お互いの敵を倒すために、情報交換をすることで彼らの仲間内に入ったのはいいが、如何せん彼は人誑しのため、なかなか親密になれずキッドは焦っていた。

 だけど、今夜は下調べを念入りにした結果。

 ようやく彼にアプローチができるチャンスだと知り、マジックの練習にも余念がなかった。

 それ以外のおもてなしにも、細かくチェックするほどだ。

「あとはアイツの好きなコレと、コレ・・・そうだ、ボイスレコーダーにカメラも何台か設置しておかねえとな!おい、おまえら気合入れてけよ!名探偵に楽しんでもらおうぜ!!」

「「「「「クルック~!!」」」」」(了解~!!)

 そして、相棒である鳩の彼らにも声をかけるキッド。

 夜になるのを、今か今かと待ち焦がれていた。

 支度もばっちり済み、予定通りの時間になり、「さあ、出発だ!」と思っていたキッドだったが・・・

「・・・え?あ、あれ・・・?嘘・・・?なんで・・・?ない、ないない!!ない~~!!!なんで~~!!!???どこにいったの~!!!???」

 彼へのプレゼントである暗号が見つからないことに気づくのだった。





 その頃、探偵事務所では。

 コツコツと窓を叩く音の元へ、コナンが近づいていた。

「クルッ~。」(開けてください。)

「ん?なんだ?」

「クル~クル~ック。」(ご主人様から新一様へのプレゼントを届けに参りました。)

「あ・・・、おまえイースターエッグの時の子か!おいで、入って来いよ。」

「クル~!」(ありがとうございます!)

「今日はどうした?一人か?」

「ク~・・・」(あのこれ・・・)

 足元についている暗号をクチバシで伝えると、言いたいことを察したコナンがそれを取り、中身を開く。

「ん・・・、キッドからのバースデープレゼントか。偉いなおまえ、わざわざ届けてくれたんだな。ありがとうな~。」

「クル~クル~。」(いえそれほどでも。)

 可愛らしく、会話をしてくるキッドの鳩・オパールに癒され、頭を撫でるコナン。

 その掌の温かさに気持ちよさそうにしていると、無線からキッドの声が聞こえてきた。

『・・・・・・おい、オパール!おまえ今どこにいるんだ?』

「あれ・・・?その声、キッドか?おい、この子の名前、オパールっていうのか?」

『え?名探偵?なんでそこにいるの?』

「なんでって・・・お前がこの・・・、いやオパールに俺へのプレゼントを届けるように頼んだんじゃねえのか?」

『んなの頼んだ覚えねえし、想定外なんですけど!?ちょっと悪いが名探偵!そこでソイツ捕まえといてくれ!すぐ行くからよ!』

「別に構わねえけど・・・オパール、俺とちょっと遊んでいくか?」

「クル~!」(喜んで~!)

『ああもう、なにそれうらやましい!!』

「はあ・・・?」

『いやなんでもねえ、とにかくすぐ行くからな!』

 キッドはそう言うと、それから超特急で探偵事務所へ飛び立った。

 



「めーたんて~!!!」

 ようやくコナン達の元へ到着したキッドは、逢えた嬉しさから思わず彼の名前を叫んだ。

「キッドうるさい、近所迷惑だ。」

「ごめんなさい。」

「クルル~。」(その通りよ。)

 呆れた顔でキッドに説教するコナンとオパール。

 だが、そこでまたしても予想外のことが起きた。

 パシュッ!!

「うぉ?なんだ?」

 なにやら物騒な音がしたと思うと、キッドの身体スレスレに弾が飛んできたのだ。

 眼鏡で狙撃位置をズームしてみたら、そこには赤井の姿が。

「あ、赤井さんだ。」

「はあ?なんでアイツがいるんだよ?」

 確か、今日は帰ってこないはずだと思っていたキッドは困惑する。

「・・・オメー、赤井さんになんかしたのか?」

「俺は別になんも・・・、おっと!」

 パシュッ!!

「・・・キッド」

「ち、ちょっとだけ・・・」

「早く逃げたほうがいいぜ。あの人怒らせるとマジで怖ええから。」

「えええ~~~!?」

「オパール、また今度な。」

「クル、クルック~!」(はい、楽しみです!)

 名残惜しそうにコナンの頬にスリスリするオパール。

「オパールちょっとそこ変わって!!」

 なんて騒ぐキッドを無視して、コナンに再び甘える。

「ん~~、可愛いな~~。」

 すると、その可愛さに同じくキッドを無視してヨシヨシするコナン。

「俺を無視するな~!!」

 キャッキャウフフといちゃつく二人(?)にキッドは叫ぶしかなかった。





 黒羽家では、先ほどとは打って変わったやりとりが繰り広げられていた。

 なんとオパールがクチバシでキッドをひたすら攻撃していたのだ。 

「グル~、グルボ~。クルッ。」(ちょっと私と新一様の邪魔しないでよ、気の効かないご主人様ね。まったく。)

「ちょ、痛い痛い。なんで名探偵には甘えて、主人である俺には攻撃するの~。」

「クル~、クックル~。クル~ック?」(当たり前でしょ、新一様とご主人様とでは天と地との差があるわ。彼のあの素晴らしさがわからないの?)

「いや、わかるよ?わかるけど、それでも俺にちょっとは優しくしてもらってもいいと思わない?」

「グル~。」(邪魔するご主人様に優しくするいわれはないわ。)

「・・・なんか、あの自称・魔女に似てきてねぇか?おまえ」

「グルッボ~~!?」(なんですって~~!?)

「ぎゃああ~~~!!」

 名探偵大好きなオパールがブチ切れたことで、最終兵器のアレを見せられたキッドはそのままお眠りとなりました。

 チーン(^^♪





 翌日、名探偵と二人きりでお誕生日を祝えなかった彼がいじけていたのは言うまでもない。





「「「「「クル!!」」」」」(合掌!!)





♪おまけ♪


(オパール、おまえ本当にあの名探偵のことが好きなんだな。)

(勿論、ご主人様より大好きよ!)

(それはご主人様に対してどうなんだ?かなり可哀想だと思うんだが・・・)

(だって、新一様は私を助けてくれたのよ?惚れないなんてあり得ないわ!)

(一応、ご主人様の敵だろ?)

(それでも、よ!ああ、コーラルも新一様に逢えばきっと私の気持ちがわかるわ。)

(よくわからん・・・)

(今度逢ってきたらいいわ、虜になるのは絶対に間違いないから!)

(そ、そうか・・・)

 後日、オパールの相手をしていたコーラルはコナンの元へと向かって行った。

 包み込むような優しさに触れ、すぐに名探偵の虜になると、今度は違う鳩へ上記の会話を交わし、それは繰り返されていく。

 そして、全然言うことを聞かなくなった彼らにキッドは苦労することになるのだった。

それは幸せな一日でした

新一君&コナン君、お誕生日おめでとうございます~(≧▽≦)

今回は彼のバースデーを記念して、特別バージョンを描いてみました。

愛され主人公らしい、台詞が主な書きたいところだけを書いた自己満足なお話(^^♪

ほとんど独り言が多いですが、そこは穏便にみてもらえると嬉しいです。

そして、ほんの少しだけ蘭に優しくないので、彼女のファンのかたは閲覧をお控えください。

苦情は受け付けませんので、悪しからず。

最後までお付き合いいただけると恐縮です。





それは幸せな一日でした


 コナンが一人、探偵事務所で留守番をしている。

 そんな中、ふと見上げた空からなにか光るものが落ちてくるのに気づき、外に出るとそこにはあるものが落ちていた。

「なんだ?これ?」

 真っ黒な表紙でタイトルには英語で『願いを叶えるノート』とあり、ご丁寧に使い方まで書かれている。

 興味を示したコナンはとりあえずそれを持って探偵事務所まで戻り、ソファーに座るとノートを開いて、それらを和訳した。

「なになに・・・・・・“これは貴方の願いを叶えるためのノートです。”ふふっ・・・、そのままじゃん・・・。え~っと・・・“時間はこれを手にした者の誕生日である24時間以内に願いが叶えられます。”“不可能と思われることまでなんでも書き込んでください。”“ただし、誕生日を終えた時点でこれに関する貴方の記憶は失くなります。”・・・んん~?なんか、どっかでみたことあるようなネタ・・・」

 どうやら、某漫画のネタを使っていることに気づいたようだ。

 だが、コナンは気にすることはないらしい。 

「ま、いっか・・・ちょうど今日は俺の誕生日みたいだし、物は試しだ。一回やってみようっと♪まずは・・・これ、かな?」


“新作の推理小説が欲しい”


 すると、ピンポーンとインターフォンが鳴った。

「は~い。・・・誰だろ?」

 ドアを開けると、チーター宅配便の人が荷物を持って、現れた。

「宅配便で~す。ハンコお願いしま~す!」

「あ、はい。ご苦労様です!えっと・・・ここでいいのかな?」

 ハンコを押す場所を確認すると、その人は頷き、コナンに荷物を手渡した。

「・・・はい、確かに!毎度ありがとうございました~!」

 自分宛ての届け物にすぐさま包装を解くと、そこには昴から新作の推理小説が入っていたのだ。

 いきなり願いが叶ったことに、思わず唖然とするしかない。

「・・・え~?マジで~?」

 半信半疑でいたコナンだったが、すぐに偶然だと言い聞かせる。

 日本では手に入らない代物で、自身の好きな系統の作品に入り込むのに時間がかからなかった。





 そして、夕方。

 蘭が帰って来るが、なにやら険しそうな顔に嫌な予感がした。

 理由はわからないが、ここは触らぬ神に祟りなしと言わんばかりにコナンはこっそりとノートを持って、部屋に行く。

「なんか蘭、機嫌悪そうだな・・・あんまりアテにはしてないけど、実験ってことで書いてみっか。」

 だが、同じ家に住んでいるのだから可能性は低いかもしれないと思いながら。


“蘭の愚痴攻撃から逃れたい”


 すると、その願いは叶えられ、蘭はいつものようにコナンに愚痴を言う気満々でいたのだが、急に睡魔が襲ってきて、そのまま眠りについた。

 気持ちよさそうにすやすやと眠るその様に、つい独り言ちるしかない。

「え~~?これって偶然じゃないのか?さすがにタイミングよすぎだし・・・」

 あともう一回だけ、次で結果がわかるはずだと・・・

 今度はもっと具体的にしてみようと、ある人限定にしてみた。


“安室さん特製の豪華な夕食が食べたい、できればお子様味じゃない大好物なのがいい”


 これは贅沢すぎるかも?と思った瞬間。

 ピンポーン♪

 今日、二回目のインターフォンが鳴った。

「コナン君、今日誕生日なんだって?急だったからなにも用意できなかったけど、よかったらこれ食べて!腕によりをかけて作ったから!」

 そこには新一の大好物なものが沢山詰まっており、コナンは三度目の偶然よりも素直に安室の好意に喜んだ。

「うわあ~、安室さんありがとう!!」

「・・・っ、ど、どういたしまして。喜んでくれてなによりだよ。あ、蘭さんは?よかったら彼女の分もどうぞ?」

「あ~、蘭姉ちゃん・・・なんか、疲れちゃったみたいでもう寝ちゃったんだ。ねえ、安室さん、一緒に食べない?・・・あ、時間、大丈夫かな?」

「うん、大丈夫だよ!是非!!」

 密かに認めているお気に入りのコナン君と過ごせるなんて!と喜ぶ安室に鈍感な名探偵は気づくことはなかった。

 



 ――――さらに時間が過ぎ、時計の針が11時を超えた頃。

 コナンは布団に入り、床に就こうとしていた。

 といっても、今日の出来事で簡単に眠れそうにないが。

「あと、1時間か・・・なんでかわからないけど、今日はいい日だったな・・・あ~、寝るのがもったいない・・・」

 使い方に書かれている“不可能と思われることまでなんでも書き込んでください。”の項目にどこまで可能なのか知りたくなったコナンは、あれからいろいろと試しまくっていた。

 すぐに結果がわかるような小さなことから大きなことまで。

 “暗号が欲しい”と書けば、キッドの相棒の鳩がそれを届けてくれたり。

 しばらくの間、その子と遊んで癒されたりと。

 アイツと違って可愛かったな~♪と思い出していた。(ひどいよ、めーたんて~ BY怪盗キッド)(ノД`)・゜・。

“パパに逢いたい”と書けば、ルパンの目を盗んで一人逢いに来てくれたり。(パパって呼ぶな! BY次元)(~_~メ)

 他にも、冗談半分で“服部が工藤と呼ぶ度に上からタライが降ってくれれば面白いかも!”と書けば、本当にその通りになった。

 電話してみたら、案の定第一声に“くど・・・ぉ、”と最後まで言わせることなく鈍い音が聞こえてきたし。( *´艸`)

 あれには笑いが止まらなかった!!今でも思い出すだけでお腹が痛いし!!(≧▽≦)

 その全てが次々と叶っていくのを体験すれば、嫌でもこれは本物のノートだと認めざるを得なかった。

 その中でも一番、現実主義者のコナンに効いたのが“30分間だけでも、新一の姿に戻りたい”というものだった。

 苦しむことも全然なく、まるで魔法のような伸び縮みに何度も夢ではないかと頬を抓ったが、痛みはちゃんと感じているようだ。

 たった一日だけでもいい、明日には記憶がなくなっていてもいい。

 そんな純粋な想いからコナンの心が解放されていく。

 気が付いたら、すらすらと最後の願いを書いていた。

「ま、無理かもしれねえけど、これが俺の一番の願いかな?」

 そう呟いたコナンはそのノートを横に、ようやく眠りにつくのだった・・・





♪おまけ♪


「おや・・・?これはこれは・・・まあ、なんとも優しい願いじゃのう・・・」

 小さくなっても頑張っているコナンへノートを贈った神様がその内容に微笑ましそうにしている。

 彼の好きなものは熟知していたが、これは想定外だったなと、ポツリと呟いた。

「しかも幸せそうに寝おって・・・これじゃから神はやめられんわい。時間はあと僅かじゃが、江戸川コナン君?・・・ここは特別じゃぞ?」

 そう言うと、初老の神はコナンの願いを叶えるために早速、動くのだった。










“灰原の笑顔が見たい、夢で大好きなお姉さんと逢えるといいな”





 翌日、相棒の彼女がとても幸せそうに笑っていたと、博士は後にコナンに語るのだった。

『から紅の恋歌』、観てきました(;^ω^)

タイトル通り、昨日の日曜日。

家族から行きたいと言われ、予定していた今週末から変更し、急遽ネットで予約席を取って、映画を観てきました。

前にも行った電車とバスで30分程度で着き、最寄りの駅から近く、スーパーの最上階にあるこじんまりとしたシネマ館。

前日に空席を見たけどかなり席が残っていて、一番いい席を子供たち、それを挟んで大人という形で座りました。


それで、今回の映画の感想ですが・・・

ネタバレになるので詳しくは言えないけれど、平和として見るのなら「まあこんなもんかな」というくらいな感じで、それなりにいいシーンがあり、平次の活躍もあるのか、ないのか?なシーン、そしていつものアクションシーン・・・

いろいろとありましたが、一番印象に残ったのは映像ですね。

京都を舞台に、秋という季節の設定でしたので、すごく綺麗でした。


それと、蘭なんですが、彼女はねえ・・・・・・う~ん、なんと言ったらいいのか。

通常運転、これしか言えません。

金曜日のアニメを見た方ならわかると思いますが、それがプレストーリーとなっていたおかげなのか、ちょっとだけマシに思えた、というのが素直な感想。

KYな部分はあったけど、それはモブとしてスルーすれば気にならないほどだったし(映画の内容的にそれどころじゃなかった)、存在が薄く薄くて・・・(;^ω^)

どっちかというと、新キャラの彼女のほうに目がいっていましたね。

私は彼女の方が好きかな?

綺麗だし、着物似合ってるし、それに・・・おっとこれ以上はネタバレになりますが、好感度はよかったです(^^♪

他には、犯人の動機の辺りのシーンは必見ですね!!

「業火の向日葵」の犯行動機の

「私はそれほどゴッホの〈ひまわり〉を愛しているの!!あの二枚目の贋作が、ゴッホの〈ひまわり〉と並んで展示されるくらいなら、死んだ方がマシよ!!」

という「は?意味がわかりません」な動機なんてものとは比べ物にならない。

いや、比べるほうが失礼か・・・犯人さん、ごめんなさい(+_+)

あと、この映画のノベライズ版も出版されたようです!!

アマゾンでずっと今までの分を買っていたから、お勧めで知りましたので、報告しておきますね~(*^。^*)


それでは。

IF×IF 逃がした魚は大きい

『IF×IF 他人の飯には骨がある』の続きになります。

今回も英理に対しての厳しめがあります。

小五郎と英理の会話を主にした物語です。

あいかわらず蘭に優しくないので、マイピク限定とします。

彼女のファンのかたは閲覧をお控えください。

苦情は受け付けませんので、あしからず。

最後までお付き合いいただけると恐縮です。


※※※※※


前回の『IF×IF 他人の飯には骨がある』のコメントのレスが遅れていることをここにお詫び申し上げます(+_+)

なるべく早く、できれば明日もしくは明後日に返しますので、もう少しお待ちください。





IF×IF 逃がした魚は大きい


 ドアをノックする音が鳴り、小五郎が対応すると、目暮警部が高木を連れて入ってきた。

「目暮警部・・・蘭は?蘭はなんて言ってるんですか?」
 
 英理は彼らの出現に、すぐさま蘭の様子を訊ねる。

「被害者への攻撃はあくまで不可抗力であって、自分の非は一切ない。そう主張しておるよ。」

「・・・蘭に逢わせてください。」

「それは無理だ。理由はわかってるな?」

「はい、心得ています。」

 そのことに即答する小五郎だったが、英理は納得がいかないといった表情だ。

「しばらくは家に帰れないと思ってくれ。」

「そ、そんな・・・」

「・・・実は先ほど事情聴取のとき、目暮警部の話も聞かず、暴言を吐いた上に攻撃を仕掛けてきたんですよ。その際、佐藤刑事が軽傷を負いまして・・・まさか娘さんがそんなことをするなんて思っていなかったのでしょう。対応が少し遅れてしまって・・・彼女は精神的にショックを受け、今は席を外してもらっています。あと・・・」

 言いにくそうにする高木に目暮は代わりに答える。

「・・・前々から警察内部では問題視されていたんだ。蘭君の容赦ない犯人への攻撃はやり過ぎではないかと・・・『取り押さえるとしても、空手家なら一撃で終わらせることができるはず、再起不能にする必要があるのか』そんな声が多くてな・・・おまけにタイミングが悪いことに過去の事件で被害を受けた者から届け出があったんだ。」

「なんでですか!被害って、蘭がそんなことするわけないでしょう!?」

 悲観的になっていた英理だったが、まさかの間の悪さに声を荒げた。

 逆に、身に覚えがあり過ぎる小五郎は冷や汗を掻いていた。

「高木君、説明してくれ。」

「はい。」

 それは英理にとって、寝耳に水の話のことだった。

 プロサッカー選手誘拐事件の犯人・上村直樹に対する過剰防衛、及び扉を破壊したこと。

 新出医師の元・患者が住んでいるアパートで幽霊騒ぎを起こした犯人がドクロデザインのTシャツに顔を埋め子供じみた発言をし、呆れ返った蘭により、男が足を止めたにも関わらず、裏拳で殴り倒したこと。

 ある中華レストランでは、有効期限切れであるチケットの説明をしようとした強面の店員から、蘭の攻撃によりトラウマを発症したこと。

 さらに自身の容貌から勘違いをされることが多いため、次第に仕事を続けるのが困難になり、慰謝料と治療費を求める声があったこと。

 どれもが過剰防衛を値するものだと聞かされた英理は自分の知らないことに愕然としていた。

 事件に至らないほどのことだが、内容が内容だけに被害の申し出がある以上、無視できないものばかりだ。

「今までは目暮警部が庇ってこられたから、公にならなかったんです。ご存知ありませんか?」

「それは、」

「申し訳ありません、今までありがとうございました。目暮警部。」

 英理の言い訳を遮るように、小五郎が目暮に頭を下げた。

「貴方!」

 しかし、それでも現実を受け入れられない英理は声をあげる。

「いい加減にしろ!本来ならいつ逮捕されてもおかしくなかったんだ。それをずっと蘭を護ってくれたのは目暮警部だぞ?」

「でも、信じられないわ・・・」

「現実を見ろ。戸部の事件がまさにそうだったろ?コナンが何度も止めていたのにも関わらず、だ!思い込んだら一直線の蘭なら絶対にないとは言い切れない。・・・さっきも言ったが、有段者の蘭が一般人に空手技を仕掛けるのは許されることじゃないんだ。怪我をしなければいいなんて考えはあり得ないんだよ。相手にそんな言い訳が通用するなんて、思わないことだ。」

「・・・・・・。」

 小五郎の言いたいことはわかる。

 弁護士である自分なら依頼者にそのような主張されてしまっては、話にもならないと相手にしなかっただろう。

 どちらかというと、理不尽な暴力を受けそうになった被害者の依頼をここぞとばかりに受け入れるに違いない。

 だが、前者に肩入れしてしまっている英理は逆に冷静になっている小五郎との立場が気に食わないのもある所為か、身内への弁護がご法度になっている事実すら思い浮かんでいなかった。

 戸部のときは相手が示談に応じてくれたからこそ、裁判にならなかったが今回の場合は間の悪いことに空手会の貴公子である京極も関わっている。

 彼の迅速な対応により、空手協会から蘭の調査の申し出があり、過去の事件を遡った結果。

 今まで見逃されてきたものや、最近になって被害届が出ていたものと重なってしまうという悲劇になったのだ。

 過去の暴君振りを暴露されたことで、避けて通れないものだと本能的に感じたのだろう。

 いつもの冷静さを欠いた英理の言動こそが、なによりの証拠だった。

「今の自分を客観的にみてみろ。冷静なお前らしくない。」

「・・・なによ、らしくないって。」

「・・・英理。」

「貴方は、蘭が全部悪いって言いたいの?」

「そうは言っていないだろう。俺はただ・・・」

「なによ!普段からちゃんとあの子を見てないそっちが悪いじゃないの!?昼間からお酒飲みまくって、いい歳したオジサンがアイドル相手にメガホンで騒ぎ立ててるんでしょうよ!?そんなぐーたらな貴方にとやかく言われたくないわ!だいたい貴方が蘭をしっかりと躾けてればこんなことにならなかったのよ!」

 淡々と話す小五郎に英理は冷酷さを感じ、そんな夫に怒りが収まらない。

 そこに目暮の雷が盛大に落ちた。

「バッカモン~~!!喧嘩なら後でやりたまえ!!」

 ビクッとなる二人に目暮と高木は呆れるしかなかった。

「・・・今は責任を擦り付けている場合ではない。それでも二人は本当に親か!!親なら子供が悪いことをしたら叱る、当たり前の常識を教えなかったのはお互い様ではないのかね!?・・・これ以上は言うつもりはなかったが、毛利君、妃さん・・・別居という曖昧な関係でいるから子供は不安になる、そう思わんのか?ワシには子供がいない・・・だが、いないからこそ見えるものもあるんだ。君たちの中では暗黙の了解になっていても、蘭君に伝えていなければ意味は為さない。娘に対して少しでも罪悪感があるのなら、きちんと言葉にしておくべきではないかね?蘭君の為にも、君たちの為にも。」

 目暮の言葉を聞き、英理はまるで父親に叱られている気分になった。

 自分たちのことや蘭のことを心配している彼だからこそ、冷静になれたのかもしれない。

 確かに、小五郎に『らしくない』と思われても仕方ないことをしていることに英理はようやく気づくのだった。

「・・・・・・俺は、戻ってきてほしいとずっと思ってた。前に言ったことがあったんだが、あのときはどうやらタイミングが悪くて・・・・・・なあ、英理・・・もう限界なんだよ・・・俺は・・・」

「貴方・・・・・・わ、私は・・・」

 変わらずに自分を愛してくれる小五郎に英理は躊躇するしかない。

 せっかくよりを戻せるチャンスだったのに、それを先延ばしにしていた自覚があるだけ申し訳なく感じる。

(い、言えないわ・・・もう既に聞いていた、なんて・・・おまけに、この人の気持ちを録音して、何度も聞いた上に、“こんなんじゃ許してあげない”なんて、思っていたことは・・・絶対に、言えない・・・・・・)

 今も尚、はっきりと応えてくれない英理に小五郎は話を続ける。

「・・・俺とやり直す気がないのなら、はっきりと言ってくれないか?曖昧な関係はもうやめだ。お前が別居を望むんなら離婚も視野に入れる・・・・・・そのほうが、蘭に諦めさせることもできるしな。」

 小五郎の言葉に英理はハッとした。

 家族が第一の夫が自分のためだけに、ここまで行動できる男ではないと。

 本音は自分たちの復縁ではなく、蘭がなにより大事なのだと・・・小五郎はそう言っているのだ。

 そして、二人のために蘭がずっとやり直してほしいとあれこれ考え、機会を与えてくれたことを思い出した。

(そうだわ、ずっと蘭は私達のために合間に入っていろいろとやってくれてた。なのに、私達・・・いえ、私はこの関係を壊したくなかったのね。無意識とはいえ、蘭の気持ちを蔑ろにして・・・・・・なにやってたのかしら、私・・・何度もチャンスはあったのに、それを潰してきたのは明らかに自分自身だったわ・・・・・・)

 蘭は子供として仲のいい親子関係を望んだだけだった。

 どこにでもいそうな、あり触れた平凡な家族団らんを夢見続けて、めげずに何度も機会を作ってきてくれたというのに・・・

 それこそ蘭の気持ちをバカにしていたことに英理は恥ずかしさを覚えたが、反省は後でもできると心を入れ替え・・・

 もう一度、家族としてやり直そうと決意した。





 ――――しかし、悲劇は再び訪れる。

 警察内部で毛利家の噂が広まっていき、どこから漏れたのかマスコミがこぞって有名である二人を非難したのだ。

 長い年月の間、育児放棄をしてきたツケが一気に返ってきたことで小五郎も英理も、まさかの事態に各所で対応するのが精一杯だった。

 一方で、蘭は・・・

「早くここから出してよ!それと新一は!?呼んでくれたんでしょう!?」

 全く反省していない態度で呑気に「新一は?新一は?」と言い続け、二人を呆れさせていた。

「前にも言ったでしょう?例え新一君がここに来れたとしても彼には無理だって、探偵にそんな権利はないって、ちゃんと説明したわよね?」

「そんなの知らないわ!いいから新一を今すぐここに連れてきなさいよ!そうだわ・・・コナン君よ!コナン君なら新一の居場所を知ってるかもしれないわ!」

「・・・・・・あのなあ、コナンをこれ以上巻き込むのはよせ。ただでさえ、アイツには迷惑を掛けっぱなしだってのに、いい加減自分のしたことを自覚してくれ。」

「私はなにも悪いことはしてないわよ!悪いのはあっちよ!ただの勘違いなのに皆してひどいことばかり言うし!怪我したのは私なのよ!?」

「それでも有段者のお前が空手を仕掛けてもいい理由にはならない。勘違いだとわかってるのなら尚更だ。怪我もお前が最初にしなければいいだけの話だ。」

「でも!新一が・・・」

 などと自分の非を認めずに「新一が、新一が」と言い続ける始末で、一向に前に進むことがない。

 こんなにも話の通じない会話に疲労困憊になる二人。

 今まで聞き分けのいい子だと思っていたのは、新一がいて、その捌け口になってくれたのだとしみじみ感じる。

(・・・アイツはよくこんな人の話を聞かない娘とずっと付き合えたよなあ・・・並大抵のことじゃねえぞ。いくら惚れていたからって、なんにでも限度ってモンがあるし。俺だって心が折れそうだ・・・)

 コナンにも新一と同じ立場にしてしまったことを、反省をしている小五郎。

 しかし、英理は化けの皮が剥がれた娘の非常識さに、諭しても諭しても自分の話を全然聞いてくれないことに苛立っていた。

 蘭の所為で、自分たちの身も危ういというのにどうしてわかってくれないのかとついつい命令口調になっていく。

 それを蘭が激情し、小五郎が宥めるといったループが続き、その間に弁護士事務所への依頼者がどんどん減少していった。

 元々のプライドの高さが災いしたのか、常に上から目線の発言、娘一人を育てられずにいる弁護士の世話になりたくないとはっきりと言われたことで、英理は窮地に追い込まれる。
 
 一方の小五郎は早くに事務所を畳み、知人を頼ってボディーガードの仕事をしてそれなりに頑張っている姿勢が功を為したのか、あるいは男手一つで蘭を育ててきたという利点が強みだったのだろうか。

 今までとは立場が逆になったことで、少しずつ二人の間に亀裂が入っていく。

 愛する娘のためだと思いつつも、仕事が上手くいかずイライラを小五郎に当たり、喧嘩も絶えなかった。

「私だって必死にいろいろやってるのよ!でもどこに行っても嫌な顔をされて、暴言まで吐かれて!蘭も全然言う事を聞いてくれないし、どうしたらいいのかわからないのよ!貴方はいいわよね、仕事先で上手くいってるみたいだし、お金も稼げて!私は・・・私はここまでひどい仕打ちを受ける筋合いなんてないわ!私はちゃんと蘭の母親をしていたのよ!」

「それはお前の主張だろ。蘭に言わせりゃ同等の愛情じゃなかったから不安で仕方なかったんじゃないのか?まあ、仕事で忙しいのはわかる・・・俺だって、お前と同じだからな・・・だけど、逢う機会が少なくてもたまに連絡を取るくらいのことはできたはずだと俺はそう、思っている・・・蘭だって、他愛のない会話でもしてお前といろいろ話したいことがあったんじゃねえのか?・・・お前は忙しいからってすぐに切ってしまっていたかもしれないけどな・・・」

「・・・事実、忙しかったんだから仕方ないじゃない。蘭だってまた連絡するって言ってくれてたし、これまでだって上手くいってたわ。」

「上手くいってたんじゃない、蘭がお前に合わせていてくれたんだよ。文句も言いたいのを我慢して、いい子であれば帰ってくると健気に信じてな。おかげで鬱憤は俺や新一に向かっていっちまった結果がコレだ・・・俺たちは親としての責任を最後まで取るべきだろう?・・・違うか?」

「・・・・・・。」

「もう一度、よく考えてみてくれ。俺たち家族の幸せのために。」

 なにも言わなくなった英理がしばらくの間、いろいろと考えたのか。

 ある日、小五郎に別れてほしいと離婚届にサインを求めてきた。

 その決意に二度も裏切られたことで、急激に彼女への想いが粉砕。

 結局、英理にとって一番大切なのは自分、そう突き付けられたような気がしてならなかった。

 だけど、逆にスッキリとした顔でサインをする小五郎。

 元・妻が荷物をまとめて出ていくのを見て、ふと思う。

(・・・なんとなく予想はしていたが、アイツに母親としての素質は最初から持ってなかったんだな。いくら弁護士になりたいという夢を叶えたかったとしても、蘭にトラウマになるような言葉をよく吐けたもんだ・・・おかげで蘭は自分の非を認めない性格になってしまったし・・・・・・まあ、俺も悪かったんだな。甘やかしすぎるのも毒ってか?)

 好きだからといって、なにをしても許されるなんてあり得ない。

 咎めるところは咎めるべきなのだったのだと、小五郎はそう思った。

 逃がした魚は大きい。

 一度手に入れかけて失ったものは、実際よりも素晴らしく見えるもの。

 あとでそのことに気づいても、もう遅いのだと。

 こうして、小五郎は過去に愛した妻と縁を切り、娘が出所する日を待ち続けるのだった。





 後日、刑務所にて。

 反省の色のない蘭は今日も悪態を吐き続けている。

 一向に助けてくれない新一は勿論のこと、離婚してしまった小五郎と英理にも容赦はなかった。

 そんな蘭に他の受刑者は呆れるしかない。

 しかし、ある手紙を読んだ瞬間。

 刑務所全体に蘭の絶叫が木霊するのをついに皆の声が揃った。

「「「「「うるさ~い!!」」」」」

 新一から決別を宣言された蘭は周りのものを破壊しまくり、最後には糸が切れたかのようにパッタリと気絶。

 翌日には、生気のない魚のような目になっていたらしい・・・
 
プロフィール

みゅう

Author:みゅう
はじめまして!みゅうです!

ネットで同じ趣味を持つ人から小説を勧められて、それをきっかけに前から温めていた文章を元に作成、二次元ストーリーを書き始めました。
初めてのブログ開設で更新はかなり遅いと思いますが、もしよろしければお付き合いいただけると嬉しいです。

小説が主ですが、たまに日々の出来事も書くつもりです。

なお、小説はみゅうが作ったものなので原作者や出版社は一切関係ないので、ご注意ください。

みゅうの秘密基地へどうぞ!

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